唐津焼とは

唐津焼(からつやき)は、近世初期以来、現在の佐賀県東部・長崎県北部で焼造された陶器の総称です。唐津焼の名称は、製品が唐津の港から積み出されたことに由来するともいわれますが、定かではないようです。



日常雑器から茶器までさまざまな器種があり、作風・技法も多岐にわたりますが、とくに茶碗は、古くから「一楽二萩三唐津」と称されて名高いです。分派の武雄古唐津焼と共に、日本の伝統的工芸品に指定されています。



唐津焼の特徴は、李氏朝鮮(一説に、華南)から伝わったとされる伝統的な技法が今に根付いているところです。意匠は、非常に素朴で、それでいながら独特の渋みがあります。



唐津焼の種類

●絵唐津
器に鬼板と呼ばれる鉄溶液を使って花鳥、草木といった意匠を描き込んで、灰色釉など透明な釉薬を流し込み、焼成したもの。土色の器肌と単純でありながら伸びやかな意匠が相俟って、独特のわびしさを生み出します。

●朝鮮唐津
李氏朝鮮の陶工から伝わった伝統的なスタイル。黒色を付ける鉄釉を上から流し、白色を付ける藁灰釉を下から掛けたもので、二つを交わらせて風景を表すもの。上下逆の物もあります。

●斑唐津
長石に藁灰を混ぜて焼成する事で粘土に含まれる鉄分が青や黒などの斑になったもの。独特のざんぐりとした風合いは茶器に好まれます。

●三島唐津
朝鮮の陶器、三島手の技法を受け継ぎ、日本風にアレンジしたもの。象嵌の一種で、器が生乾きのうちに雲鶴や印花紋などの紋様を施し、化粧土を塗って、仕上げ作業を施し、その上に長石釉、木炭釉を掛けて焼成したものです。

●粉引(こびき)唐津
褐色の粘土を使用、生乾きのうちに化粧土を全面に掛け、乾燥させた後に釉薬を掛けたもの。

●奥高麗(おくごうらい)
高麗茶碗の井戸、呉器、熊川風の造形の茶碗で、通常、無地です。和物茶碗として極めて評価が高いです。